氷ノ山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1『戸倉峠』、『氷ノ山』
または昭文社発刊『山と高原地図』シリーズの中の「氷ノ山」を
参照していただくようお願いいたします。

2002. 3. 9.  土曜日  ピーカン晴れ  気温あったか
2年ぶりの雪の氷ノ山。じつは新しいアイテムとしてスノーシューを買ってしまった。 買った以上それを試したくなるのは世の常。しかし毎週のように雪のない低山ばかりを ほっつき歩いていて使うチャンスがありません。 うかうかしていたら雪がなくなってスノーシューは布団たたきになってしまうかも・・・・。 そこへ助け船がありました。毎週のように雪山へいっているOAPさんが誘ってくれたのです。 もちろんJMMさんもごいっしょです。

9時30分スタート。 前回同様氷ノ山若桜スキー場からリフト使用で楽をする。うれしいことに最上部までリフトが 動いているということであの激斜面の登らなくて良かったので汗はまったくかかなかった。
スキーヤーもこの斜面は敬遠しているようだ

なんの苦労もなく一気にここまであがれた。我々とほぼ同時に小さな男の子を連れたグループも 一緒に登ってくる。このリフトが動いている期間ならこれぐらいの子供でも楽に登れるだろう。
リフト最上部からでも大山は見えた
このやせ尾根を登れば雪原が広がる

昨日、あるいは今朝早くからのハイカーによる踏み跡が多くある。それを辿らなくても 尾根は細くて迷うことはない。雪庇のあるここを登り切ればいきなりの大雪原が 広がる。
登ってきた方向を振り返ってみる
ブナの点在する大雪原。正面は三の丸、右手は鳥取、兵庫の県境尾根方面。今の時期なら問題なく 歩けるが雪がなくなれば雪原から笹原に変身するためまったく様子は変わってしまう。 ここで初めてスノーシューをはいてみる。ストックはOAPさんから頂いたものを使用。 言いようのない感覚だが水面に浮遊する忍者になったようだ。

雪原の表面の様子も一歩ごとに違っているのがわかる。かちかちのアイスバーンもあれば ふかふかで坪足なら数十センチは埋まってしまいそうな所もある。スノーシューなら そのどちらも問題なく歩けるので効果は大きい。

三の丸に近づくにつれて展望はさらに良くなってきた。雲はまったくなく風もさほど強くない。 長袖の化繊下着に半袖のTシャツだけでもなんともない。知っている山々がどんどん見えてくる。 OAPさんと同定を楽しみながら歩いていく。 残念なことに北方向の空気は澄んでいるが南方面はかすんでいるようだ。
山頂も近くに見えるJMMさんが言う『餃子の皮雪庇』

OAPさんが言うには今日は雪が少ないそうだ。いつもなら三の丸の避難小屋、展望台もこれほど 姿を現していないということだった。雪の踏み抜きを気にしなくてもよいのでスイスイと 進んでいく。期待の加賀白山も雲に浮くように姿を現していた。空気中の浮遊物のためか 若干ピンクがかって見える。一応デジカメで写してはみたものの後で確認したらなんにもわからなかった。

頂上には12時ジャスト。鳥取県の作ったエコトイレ、従来の避難小屋、取り払われた 尼工ヒュッテと氷ノ山の頂上も姿を変えつつある。先客も多いが風をさけるために 避難小屋で昼食を摂る。

頂上からの無線は隠岐に移動中のMXFさん、北摂剣尾山移動のMWTさんといつもの メンバーとの交信が楽しめた。
大山を拡大してみる絶好調スノーシュー

避難小屋で一緒だった男性が「下山は氷ノ山越えからですか?」と聞く。OAPさんが「その予定です」 すると「こしき岩付近のトラバースルートがアイスバーンでスノーシューでは無理です。 そっちから私も登ったのですが苦労しました。アイゼンはありますか?」素人の私は その言葉だけでもうドキドキです。 「まあ、滑落しても200mほどで止まるやろし死ぬことはないですわ。ハッハッハ。」 と男性。

OAPさんは「ベテランの山屋はおもしろがって脅すもんや」と気にもしていない様子。 それを信じて下山を開始する。実はこしき岩経由の氷ノ山越えは夏冬通じて初めての ルートです。こしき岩付近がどのような所かさえ知りません。

しかしそこは想像以上にすごい所でした。ほぼ垂直ではないかと思えるような斜面には なにも掴む所もなく足下は凍った雪の上にうっすらと新雪という滑りやすい状態。 下を見ると急斜面のままはるか谷へ続いている。「これ滑ったら登ってくるの大変そうやなあ」 とOAPさん。JMMさんは先頭を切ってさっさと進んでいく。
問題のこしき岩ルートこの先がもっと危険だった

私も二人に続いて行くが一回あやうく滑りそうになった。前を行く二人の歩きを真似て そろそろと行く。不自然な姿勢で足の腿が悲鳴を上げそうだ。シューのエッジを思いっきり雪に 食い込ませてトラクションを得る。ふと上のこしき岩を見るとそちらには安全に歩けそうな ルートを発見。私だけそっちへエスケープする。

命からがら(たぶん私だけの思い・・・)で通過できた。振り返るとやはりすごい傾斜の斜面だ。 「スキーやったらエッジが効くから簡単なんや」とOAPさん。しばらく行くと ブナの幹に錆びた古い鉄板がぶら下がっている。『ブンマワシ広尾根』と表示があった。 その広尾根を下って登って氷ノ山越避難小屋に着いた。14時30分。
雪庇の上は危険ですブンマワシ広尾根

雪に埋もれた標識これぞ雪原ハイク

ここ氷ノ山越は昔は伊勢道と呼ばれていたらしい。実際つくよねの集落内にもその道標がある。 そのつくよねに向かって下っていくのだが、どう見ても道なんてない。ただ雪の斜面があるだけだ。 「とりあえず左に斜面を巻いて行こか」とOAPさん。言うはやすし行うは難し。あっというまに 滑って木に引っ掛かって止まる。

三人でギャーギャー言いながら杉植林帯の雪斜面を進んでいく。明るいところに出て 下山方向も確認できた。ちょっと下るとスキーの跡がある。「こういうルートをとるのは この辺を熟知した地元の人やなあ」とOAPさん。それを辿って下山を続ける。 振り返ると苦労した割に赤倉山と氷ノ山越が案外近くに見える。

疎林の中のゆるやかな雪原は旅行パンフに載っているスノーハイクそのものだ。 バックのコバルトブルーの空の色が強烈だ。雪原から再度植林帯に入ってそれを抜けると林道に出た。 雪がなくなったところでシューを脱ぎ歩いて駐車場へ戻る。16時前だった。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


ホームにもどる