篠が峰〜延命寺山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『丹波和田』を参照いただくようお願いいたします。

2000. 4.14.  日曜日  晴れ時々曇り  気温ふつう
このツーリングをするまでは篠が峰はつまらない山だと思っていた。その理由は林道が頂上まで 通じていて車で難なく行ける。しかも林道以外はこれといって登山道らしきものもない。 当然のことほとんどのハイカーは長時間のつまらない林道歩きを余儀なくされるわけだ。 その名から昔は篠に覆われた頂だったのかもしれないが今では数基の電波塔が頂上付近を占領していて その名の由来を感じさせるものはない。 そういうこともあって西向かいの千が峰は毎週多くのハイカーでにぎわっているが、ここは車で上る 無線家にだけ人気のあるかわいそうな山である。

ところが、いろんな方からいただく情報を元に地形図を見直してみて認識を新たにするに至った。 というのがこのピークを起点にして延びる尾根がすごいのだ。すべて書き出してみると、北へは 大井戸山を経て竜ヶ岳へ。東へ延びる長い尾根は東峰山、点名長野奥を経て弘浪山。 南に延びる尾根は3本ある。1本目は点名赤井、高釣瓶、古天神山を経て蛇山。 2本目は岩屋山、カザシを経て延命寺山。3本目は小野寺山、大海山を経て中町妙見山。

このすべての尾根が走破できるかどうかはわからないが、とりあえず篠が峰から延命寺山への 尾根をMTBでの縦走を試してみる。お相手はいつもの向井先生。ルートも検討した結果、 スタートを加美町丹治から前述の林道で頂上へ。その後表題の尾根を縦走して山南町五ヶ野に 降り立ち、大海山の南山麓(牛坂よりかば坂へ抜ける山道)をトラバースして加美町に戻る 周回路をとることにした。非常に長い距離だがMTBならではの機動性が発揮されるはずだ。

ちょうど先週は篠が峰ヒルクライムレースで多くのライダーがこの林道を駆け上がっている。 我々二人はスタッフだったがまさか一週間遅れで同じ道を登るとは思わなかった。 先週の丹治桜公園はまだつぼみだったが今週は満開のはず。ということは桜見物で車も 多いだろうと予想して急遽杉原川の左岸にある小さな公園駐車場に止めることにした。 ここは地元の人しか知らない穴場。10時過ぎスタート。

丹治谷川沿いに篠が峰を目指すが集落を避けるようにして右の林道を登る。やがて桜公園からの 林道と合流するが、その手前で大規模な別荘地があったのにはびっくりした。どうやら温泉も 出ているようで多くのログハウスが切り開かれた斜面に建っている。そこを抜けると篠が峰林道 がはるか頂上まで延々と続くのみ・・・。腰痛の後遺症である左膝痛が早くも出始めて前途不安だ。

氷上町に抜ける峠分岐も過ぎると傾斜もさらに厳しくなってくる。M氏はさっさと頂上に 向かって行ったので一人寂しく登る。頂上の電波塔群は相変わらずだが思った以上に 展望の良さに改めて驚かされる。カヤマチ〜安全山の縦走路も経験したものの強みとでも いうのか、それぞれのピークの同定もなんなくできてうれしくなる。反対に今回進む尾根が どれか見極めようとするが二人の意見が食い違うのはご愛敬か・・・。

頂上から林道をちょっと戻った最初のコーナーが入り口になる。普段はまったく気がつかなかったが すばらしいシングルトラック(送電線巡視路)が続いているのが見える。さっそくかっ飛ばすが すぐに分岐になる。直進すると鉄塔36を経て小野寺山、大海山へ。でも鉄塔までは 道はあるだろうがそれ以降はわからない。我々の目的地は岩屋山なので鉄塔37の方へ行く。 762mピークから鉄塔37を通過して岩屋山との鞍部であるCa.615mまでは 完璧に乗車可能だ。
巡視路 篠が峰
巡視路は気持ちよく下れる岩屋山手前より篠が峰を振り返る

ここからだらだら登りが岩屋山まで続くが徐々にしゃくなげが現れる。カヤマチ山縦走の時も しゃくなげはあったがカヤマチのそれは一つ一つが大きく立派で岩屋山は小さいが生えている 密度がすごくて両サイドから覆い被さってくるようだ。今はつぼみさえないが花が咲く頃には どれくらいすばらしいか花オンチの私さえわくわくする。12時35分、岩屋山到着。 頂上は残念ながら雑木に覆われていて眺望はない。昔あったと言われる岩屋山清水寺の 所在もここからはうかがいしれない。お約束の大柿プレートもあった。

驚くことがあった。頂上から10mほど下ると伐採されていてモノレールの軌道がある。 高圧鉄塔の工事用だが西側の谷(そのものずばり西谷)から登ってきているようだ。 伐採箇所は陽が射して暖かいのでここでレールを見ながら食事をすることにした。 無線でつながったOAPさんによると段が峰は小雪が舞っているそうだ。 このレールがここで終点と言うことはすぐ近くが工事現場ということだ。 ここからちょっと下ったところにその工事現場はあった。日曜日ということもあって 人影は皆無であったが資材は周辺にあふれているし、クレーンなどの重機はすぐにでも 動き出しそうだ。

ここから縦走尾根を眺めると遙か先まで続いているし、カザシ、延命寺山のするどいピークは おいそれと行けそうな気がしない。 大きく下って登り返したピーク(Ca.620m 13時50分)は要注意。 わかりにくい分岐だがピークを右にたどるのが正解だ。この付近はちょっとだけ ヤブっているが赤テープと踏み跡を見逃さねばだいじょうぶ。下ったところ左には植林帯に 降りる道があった。五ヶ野に降りるエスケープルートになるかもしれない。
モノレール こぶし咲く
モノレールの終着駅こぶし咲く山腹

そこを抜けると細くて岩のつり尾根地帯となる。左右に大きく展望の広がるポイントだ。特に 左(東)隣の尾根の山腹はみごとにこぶしが咲き乱れている。いつまでも眺めていたいが とにかく先が長いので進む。519mピークまでは左に『マツタケ山入山禁止』と 立て札とネットが延々と続く。細くて急な登りで膝も痛いしスタミナも尽き果てている。 その519mには15時05分着。分岐だが正面にカザシのピークが見えているので 間違うことはない。ただ、鹿除けネットをまたいだ右側でないと歩けないので注意。 この付近でたぬきさんと何度目かの交信をするがいきなり電池切れになり送信できずで 受信のみになる。

カザシ(標高560.0m 三等三角点)に15時45分着。頂上手前は伐採されていて 西側がよく見える。頂上自身はなんの変哲もない三角点ピークだ。膝はいよいよ痛みを増している がここからエスケープすることはもちろんできない。この先岩のごつごつした下りで所々展望の岩場が ある。ゆっくりできる余裕もないがこのあたりからはミツバツツジであろうか?紅色の小さな 花が目に入ってくる。正面には延命寺山、恐ろしいほどの急斜面が迫っている。ピークはあと一つだ がんばろう。

頭はほとんど思考していないが頂上手前で左に赤テープが見えた。これが下山ルートになる。 頂上には自然石にマジックで大柿さんの署名がある。狭いが周囲にはツツジの木がたくさん。 もう少したつとここは紅色一色に染まるはずだ。時計は16時45分、ぼやぼやしていられない。 「早く降りて自販機でジュースを買いたいね」を合図に先ほどのテープ地点まで戻り東方向へ下っていく。 途中から所々なんとか乗車も出来始めた。降り立ったところは『山本金比羅神社』17時25分。 もうこうなると時間との競争だ。このあたりも今が桜の真っ盛り、延命寺の桜を横目で見ながら 村の中を駆け抜ける。

村の中の酒屋さんにある自販機は110円でジュースが飲める。ここらは時代から取り残されているようだ。 店からおじさんも出てきてこれから抜ける『うし坂』、『かば坂』について伺ったりした。 のどの渇きがひどく、一気にジュースも飲み干して林道を目指して走っていく。のどは潤ったが膝は痛くて 右足一本でクランクを回している。みるみるM氏とは距離が開いていくがしかたなし。 うし坂18時15分。後ろを振り返ると篠が峰からたどってきた縦走路がすべて夕日に照らされて うつくしく輝いている。カメラを取り出す気力も失せているが目にはしっかり焼き付けよう。 M氏はデジカメで写している。後でわかったが設定を間違っていたので失敗していたようだ。
鉱山跡
坑口をのぞいてみる
うし坂からかば坂へ抜ける道は大海山の南山腹を巻いている。この近辺にあった鉱山を利用するための 道だったらしくさっそくその入り口にはぽっかりと口を開けた坑口跡がある。ほとんど平行の道を ずんずん進むと途中には人家があったと思われる石垣跡、そして終着のかば坂にはお地蔵様がある。 18時30分。お地蔵様の横の斜面をすべりおりるとそこは舗装林道。なぜにこんなところまで?と 思うが行政のやることは不可解なことばかり。

杉原川沿いは桜が多い。ほとんど暗くなりかけた道を急ぎながら桜の木を愛でる。明かりのついた ぼんぼりも下がっていたり、ライトアップもされていたりするが不思議なほどだれも花見をやって いない。やはり自転車は速い。かば坂から15分でデポ地まで戻ってこられた。今日も収穫大だ。 これほど楽しめるとは思わなかった。シャクナゲ、コブシ、ツツジと連続して違う花が楽しめて なおかつ思う存分縦走もできる。文句なし裏50山に認定です。
岩屋山
後日山南町から眺めてみる

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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