青が丸

はじめに:このレポートは昭文社発行、エアリアマップ『氷ノ山』
国土地理院発行、2万5千分の1『扇ノ山』を参照いただくようお願いいたします。

'99.10.10.  日曜日  晴天  気温涼しい
扇の山から氷ノ山に至る南北に蛇行する県境尾根にこのピークはあります。古くは 多田繁次氏の著書や単独行の加藤文太郎のそれにも出てくる山です。特に文太郎氏の記録の中で 昭和8年の1月に氷ノ山から扇の山縦走の試みでこの山付近で遭難しかけるという壮絶な記録は 一読の価値あり。当時は三ツヶ谷とも呼ばれていたようである。多田氏も猛烈な笹藪漕ぎで 苦労されたとあります。一人では到底無理なのでいつものM氏とチャレンジしてみることに しました。

R−29で新戸倉トンネルを抜け途中にあるおいしいわき水をペットボトルに詰め込む。 八東町から『八東町ふるさとの森』を目指して右折、緩やかな舗装路を上り詰める。 舗装の終点がこの施設だがさらに続く扇の山林道には通行禁止の標識がある。 無視するのがさも当たり前のように進んで行く。鳥取県側には扇の山から氷ノ山に向かって ほぼ水平の高度を保って林道が南下している。標高900mでそれと合流するはずだったが わずか数十m手前で路面が崩れて通行不能になっていた。
林道崩落
林道が崩れていて、ここから歩く羽目に


あの看板はこけおどしではなくて本当だったんだとこのときはじめて気が付いたが、今更戻る 気も起こらずここに車をデポして歩くことにする。(この崩落は3年来崩れたままらしいので 当分は通行できないであろう。)この水平林道に入ってすぐケルンのある扇の山登山口がある。 河合谷牧場からのコースと違って直登の登山道である。とりあえず扇の山はパスして水平道を このまま4kmほど南進すると大きな分岐に出る。途中に広留野からの林道とも合流するので ここから車で来ていれば楽勝だった。

路面は荒れて無くアップダウンもなく車でもMTBでも楽に移動できる。自転車のタイヤ跡も あったが幅とトレッドパターンからするとどう見てもママチャリのようでちょっとビックリ。 分岐まで歩いてちょうど1時間かかって10時20分。左1km強で峠を越えて兵庫県側に、 右はゲートがあって舂米(つくよね)の桑ヶ峠に至る。まずは当初予定のA地点からアプローチを試みる。 これが一番の有力候補だったが実線の道はほぼ自然に帰っていて進むに進めずあえなく敗退。 B地点付近は植林だったので歩く空間もあるかと取り付いたが人の手が入って無くて荒れ放題。 C地点には遊歩道の看板があり階段が続いている。 しばらく歩いてみたが全然方向違いでここもだめ。どうもこの東因播林道から取り付くには無理の ようだがいかがでしょう?
周辺地図
周辺地形図
分岐に戻って県境峠まで歩いてみる。はじめての場所だったがちょうど氷ノ山の大段が平 のような感じの場所。北西に扇の山がそびえ峠には『扇の山畑ガ平登山口』がある。違うのは 大規模な高原農場が広がっていることだ。鳥取県側とまったく違う風景。その峠からシブキ山 経由で県境尾根が歩けないかと思ったが強烈な笹藪が待ちかまえていた。しばらくたたずんでいたが ふと見ると地図に載っていない舗装路がシブキ山(1088m)を巻くようにして県境尾根沿いに 伸びている。

立入禁止とはなっているがとりあえず歩いていく。途中から尾根に取り付こうかとも考えたが 道は高度を下げる様子もなく尾根と平行して続くのでどんどん歩く。正面左に仏の尾(1227m) 、右手に青が丸(1239.3m)が見えてくる。ここから見える仏の尾は頂上が木々に囲まれて いるよう。青が丸は笹の丸いピークに立ち枯れの幹が一本あるだけ、眺望はよさそうに見えるが 実際は背丈ほどの笹に覆われているそうだ。

ゲートが立ちふさがり人間以外は先には進めない。 ゲート脇からすり抜けて舗装を上り詰めると一気に目の前が広がり広大な農場が現れた。 そこだけ見ると平地の農地となんら変わりが無いが敷地の外には笹藪とブナの林が広がっている。 しかも北には大きな扇の山、なんともアンバランスな光景である。標高も1100mほどある。

ダイコン畑の畦に人影が見えたので訪ねてみる。三人の老人がキノコ狩りで帰り支度をしている 所だった。目の前にある青が丸の話をするが到底歩いていけないと言う。ちょっとあきらめモードに なる。昼食もまだだったのでここでお湯を沸かしはじめる。「ぜひ、あんたら二人で登山道を見つけて や。そしたら後の整備はわしがやるから。わしは毎年扇の山の登山道も整備してるんや」へえーっと 二人。「例年ならもう紅葉が色つきはじめているのに、今年は夏が長かったからキノコも取れない」 「ブナを切って植林をするからずいぶんと水が悪くなって魚も少なくなった」「あの扇の山の山腹に 見える植林のも全然手入れしていないから、ただの盆栽と同じや」二人が食べている間も私たちの 地図を見ながらよくしゃべること。
扇の山 ヤブ漕ぎ
高原農場から扇の山を見るヤブを漕いでみる
昼食を終えて13時30分。青が丸に登るには無理な時間だが少しだけでも県境を歩いてみたいので 老人達と別れてヤブに突入する。竹呂山のヤブとは比べものにならないほどイージーで充分かき分けて 歩けた。リミットを14時にしていたので1144mのピークまでも辿り着かなかったが手応えは あった。登れなかったのは残念だがデポ地まで2時間はかかるので帰路に着く。ここまで歩いてきた 林道の傾斜が緩かったのはどうやら木材搬出用の森林鉄道が昔はあったらしい。溝に渡してある鉄格子 と見えたのは線路のレールでした。

リベンジはいつになるかわかりません。
青が丸
帰りの林道から青が丸を見る

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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